氷点下
紋甲メリー

かじかんだ背骨に脂をめぐらせて
あなたは4℃の水底に憩う
ごちそうがなくなれば共食いもする
吹き寄せられた薄氷の庇
その下にもぐって ただ噛んでいる くつくつ

針を飲んでしまったよ
そう言い残して あなたの仲間は 
まるい覗き穴のむこうへ身を躍らせる 次々
釣り上げたそばから凍っていく
火傷のような痛みなのだ、きっと

屋根の上で起こっていることが
あなたには見えない
さっきまでの話し相手が
最後のたべものだったかもしれない

ためしに齧ってみようか
あの苦そうな緑の水苔
眠気覚ましにも 退屈にも効く
春先の
素敵なペパーミントの味がするだろうか


自由詩 氷点下 Copyright 紋甲メリー 2017-04-04 12:37:39
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