楽園行きの列車
stereotype2085

 歩道橋の向こうに見える 廃ビルはやけに冷たくて
 服のポケットにいれた夢でさえ壊していくような

 誰かが歌うこの星の讃美歌に
 出逢えるのなら もう一度だけ 歩き出そう


 楽園行きの列車が駆け抜けていく 一瞬のまばたきさえ許さないように
 通りすぎた過去のあやまちさえぬぐって


 孤独な少年が 旅する路地裏は荒れていて
 スーツの袖に隠した夢でさえ奪いそうだね

 産まれた時に見た あの日の幸せな笑顔に
 出逢えるのなら もう一歩だけ 進みだそう


 楽園行きの列車が疾走していく 夕雲に照らされても 終わりは知らず
 何度でも犯すだろうあやまちでさえぬぐって 


 騙し絵にも似た世界が 虹色に輝いて
 嘘もあざむきも 未来も その手に抱き寄せる

 カラクリ画の世界よ どうか僕らだけでも
 誘い出して 連れ出して 永遠の都へ


 楽園行きの列車が導かれるまま 黄金色の田園を 走り抜けていく
 幾つもの間違いと過ちを連れて 許される限り その線路を行くよ

 エデンへ向かいその汽車は旅立っていく どの地図にも載っていない 幻の場所へ
 君に残された時間 僕に残された時間 ともに分かち合って 心の置き場所へ

 楽園行きの列車は 今走り出すよ
 


自由詩 楽園行きの列車 Copyright stereotype2085 2017-04-03 20:58:34
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