書を捨てよ
狩心
年を重ねていくと
興味が出るような言葉に滅多に出会わなくなる
そして言葉のないダンスの動きに惹かれていく
分からない方が良いことは分からないままが良い
体で感じることを忘れてはならない
ただ踊るのと、意味の超越を意識して踊るのとでは訳が違う
皆、基本的な技術を真似して踊りやがって、
いや、違うんだよ、そういうことではないのだよ
美しく格好つけるのでもなく、激しくエネルギッシュにでもなく
1の動きが1000の意味を持つように君が
世界を作り出すように踊るのだよ
君はブラックホールになり、見る者を異次元に吸い込むのだよ
それは少し暴力的かもしれない
それは少し哀しみかもしれない
それは全てを否定して肯定する矛盾を超えた正しさになる
君は細胞レベルのアメーバで、人間であることを忘れるのだよ
二度と同じものに出会えないその動きの中で
君は君そのものを言葉よりも饒舌に語る
その最中で君は君が少しずつ消えていくことを感じる
言葉よりも純粋な詩がそこにある
詩は言葉だけではない、言葉を超えた所に本当の詩がある
本当の文学は文学の外側にしかない
本当の文学は人生の中とこの世界でしか目撃する事ができない
公園で太った少年が滅茶苦茶な踊りを踊っていた
クスクス笑って通り過ぎる奴等ばかりだったが
俺はそれを真剣に見て「最高だな!」と声をかけた