書を捨てよ
狩心

年を重ねていくと
興味が出るような言葉に滅多に出会わなくなる
そして言葉のないダンスの動きに惹かれていく
分からない方が良いことは分からないままが良い
体で感じることを忘れてはならない
ただ踊るのと、意味の超越を意識して踊るのとでは訳が違う
皆、基本的な技術を真似して踊りやがって、
いや、違うんだよ、そういうことではないのだよ
美しく格好つけるのでもなく、激しくエネルギッシュにでもなく
1の動きが1000の意味を持つように君が
世界を作り出すように踊るのだよ
君はブラックホールになり、見る者を異次元に吸い込むのだよ
それは少し暴力的かもしれない
それは少し哀しみかもしれない
それは全てを否定して肯定する矛盾を超えた正しさになる
君は細胞レベルのアメーバで、人間であることを忘れるのだよ
二度と同じものに出会えないその動きの中で
君は君そのものを言葉よりも饒舌に語る
その最中で君は君が少しずつ消えていくことを感じる
言葉よりも純粋な詩がそこにある

詩は言葉だけではない、言葉を超えた所に本当の詩がある
本当の文学は文学の外側にしかない
本当の文学は人生の中とこの世界でしか目撃する事ができない

公園で太った少年が滅茶苦茶な踊りを踊っていた
クスクス笑って通り過ぎる奴等ばかりだったが
俺はそれを真剣に見て「最高だな!」と声をかけた


自由詩 書を捨てよ Copyright 狩心 2017-03-31 10:07:18
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