棲みつくもの
しらいし いちみ 

何時からか此処に居る
ふと気付いたら其処に居た

僕をじっと見てるんだ

僕が何処かに行こうとすると
必ず先回りをしている

僕を付回さないでくれよ

お前自分の家に返りな
お前の居場所に帰りなよ

僕と一緒に居ても得なんて無いから

僕は諭したのだけれど
帰る場所が無いと言う

お前はだあれ

僕はお前を知らないよ
どうして僕に付き纏う

其処まで言ったら僕は口をぽかーんと
空けたまま黙ってしまった


僕の中に住み着いた
心の双子の善と悪


ぽかーんと空いた口から
次から次へと飛び出してくる

慌てて僕は口を閉じ誰にも
見られないようにしまいこむ

双子だから引き離せない
双子だけれど似ていない

僕は此れからもずっと・・・
お守りして長い道を歩いてゆく

存在を意識した時から
僕は子守唄を歌い続ける

時々ぐずり声を立てるお前が
少しでも眠って居られる様に・・・


自由詩 棲みつくもの Copyright しらいし いちみ  2005-03-08 07:14:04
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