18回目の春
印あかり
空が3つあればね
1つくらい駄目でも構わないけど
音楽室は雨のコーラス
トライアングルを鳴らすと
乳頭があまく痺れた
先生はしょうのうの臭いがした
深くおじぎをするとポケット越しのナプキンに触れた
また来年がんばれよ、という言葉の後ろにみえた桜の木
あれに火をつけてもね
1つめの空がほら、駄目だから
舌でウニをとろかす
お母さんの目の下のくまを
ポチが嬉しそうになめる
リビングの隅に置きっぱなしのサックス
このまま化石になるサックス
雨が窓を殴っている
死にたいとか簡単にいわない
どこに行っても屋上がない
だからわたしは2つめの空もしらないでいる
ヴィヴァルディが歌いだすころ
雀たちが微笑みあうんだ
わたしの肉は白くてあまくて
今もびっしょり濡れている