暮らし
猫の耳

出会っても
離れるのは必至
二人はまるで孤高の猫

月の隣の星もう見えない
一週間前まで
ぴったりと
寄り添っていたのに

泣きたいのに
笑っている
右手は探している
手放してしまった糸の端

今朝の卵焼き
ちょっとしょっぱかったね
そう言って見上げた笑顔は
車窓の景色みたいに
記憶のずっと後ろの方に
行ってしまった

洗顔に歯磨き着替え
財布に携帯に定期
いつもと同じ朝なのに
いつも忘れ物した気分
でも
振り返らずに家を出る

傘忘れてるよ
ふいに聞こえる声は幻
きっとこんな暮らしにも
慣れていく


自由詩 暮らし Copyright 猫の耳 2017-03-03 21:31:49
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