領域
しずる

目に見えない壁があって
その先にあなたがいて
壁を隔て私がいて
二人の距離は近いのに
近づくことができない

目に見えないが壁あって
ここから先へ進みたいのに
壁にはドアもないから
先に見える景色だけを
ただ眺めている

目に見えないが壁あって
体当たりをしてみても
壁にはヒビひとつ入らず
打ち付けた右肩が
ジンジンと痛むだけ

目に見えない壁があって
途方にくれて空を見たら
壁ではなく快晴の
青空が広がっていた
寒い寒い冬の空だった

目に見えない壁があって
空の青と比べたら
自分の色が消えていき
透明の私が残った
透明な壁と私だけが残った

目に見えない壁があって
透明な私は透明な壁をすり抜けた
私は前に進めるようなった
あなたは気づかない
透明な私が見えないから

目に見えない壁があった
今はない壁があった
今はない私があった
目に見えない領域で
1つの恋が終わった

2017/2/19


自由詩 領域 Copyright しずる 2017-03-01 19:47:17
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