幼なじみ
もっぷ
六つの日の瑠璃花がふと
幼なじみの並子に
あたしの名前は「地球の花」って意味だよ
お父さんとお母さんとで何日も考えてくれたんだって
いまはまだ「ひらがな」でしか書けないけど
なみちゃんは?
あたしの名前は「たくさんを望まない、せめて人並みに産まれてほしい」って
るりちゃんとおんなじでママとパパがつけてくれたよ
「かん字」で書けるよ
二人は同時に空を見上げた
そしていま一緒に歩いているお友達の親たちの愛情を
この夕焼けよりも素晴らしいと
云わなかった、けれど
瑠璃花は並子を
並子は瑠璃花を
これまでよりもっともっと好ましく思い
これまでよりもっともっと身近に感じるようになった
なみちゃんはその翌日の朝にはもういなかった
瑠璃花が並子一家の夜逃げを知ったのは
きちんと理解できたのは何年もあとのこと
並子が前触れもなしにいなくなってから少なくとも一週間は
瑠璃花は声をあげて泣き続けた
歳月が流れ
瑠璃花にも並子にも大切なひとが
特別に大切なひとができてやがて家庭を持った
二人ともに同じ頃にあたらしい命を家族に迎える
女の子だった
瑠璃花は大切なひとと話し合いを重ねて結果
「並子」と名づけた
並子は大切なひとと話し合いを重ねて結果
「瑠璃花」と名づけた
私はぜひにも二人を再会させてあげてくださいと今夜も神さまにお祈りをする