戻ってくるものは僅かだから
noman

薄氷のような海霧の中で
忘れられた義務の一つが時報と
ともに更新された
失くした片方のことは
もう形式上だけの話
足元の草の色や
目を閉じると浮かぶ顔の
色も
ヘッドライトが点くと消えた

集積は終わり
水底に散らばる石を
見ながら
硬いチョコレートを割る
カーテンを閉める間の
数秒で思い出せることだけが
明日を迎えるために必要だった


自由詩 戻ってくるものは僅かだから Copyright noman 2017-02-06 00:27:51
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