返盃
ただのみきや

意図は回りを濡らしてしまう
意味へと上手く収まり切れず

ことばは未満の盃
発しては 少しだけ 欺かれ

揺るがないものを前に
自らの揺らぎに幻惑されるのか

受けとめては傾ける 刹那
ゆらめき映る己の影

硬い縁を握りしめ
飲み干すこころに小鬼が騒ぐ

人とことばはよく似ていて
肩に食い込む重い荷物は

透明で
誰にも見えはしないから

むっつりとして
皺だらけの笑みすら浮かべ

ひとりになれば虚ろ
一足飛びに老いさらばえる

文末に続く広すぎる空白のように
あらゆる疑念をその身に負って

同じように肩に食い込む荷物なら
見えない銃を担ぐと誓った

あなたの 意味 問わずに
ただ飲み干す 盃は新月のよう

虚空を抱き差し招く
さあなにを注ごうか




              《返杯:2017年2月4日》










自由詩 返盃 Copyright ただのみきや 2017-02-05 00:06:51
notebook Home 戻る