算数の時間
wakaba

僕らは小学3年生
産業廃棄物のような3年生
今日も算数の時間が始まる
ゴミ焼却のような時間が始まる

上級生が窓からおはじきを投げてくる
さんすうセットに入ってるおはじき
僕らはそれをうまくかわしながら
桃色のおはじきが何個あるのか数える

おはじきには小型のカプセルが仕掛けられていて
当たると中からおはじきの色したペンキが弾け飛ぶ
飛び散るペンキと悲鳴が渦巻くなか
僕らは桃色のおはじきを数える

キンコンカンコンとチャイムが鳴り
算数の時間が終わる
桃色のおはじきはいくつありましたか
先生が満面の笑みで問いかける

それぞれが答えを出し合う
僕は顔がペンキまみれでよく見えませんでしたと正直に答える
君たち全身ペンキまみれでほんと汚ないですね
先生は答えになってない答えを満面の笑みで答える

キンコンカンコンとチャイムが鳴り
次の授業が始まる
次もまた算数の時間
ていうかずっと算数の時間

おまえらも偉くなりたきゃ今我慢しろ
上級生が満面の笑みでおはじきを投げる
3年生はもっと真面目に授業を受けましょうね
先生が満面の笑みで仁王立ちしている

そんな笑顔あふれるすてきな毎日

今日も夕陽が暮れてゆく
でもあの夕陽はいつも汚い色してるんだ
いつも顔がいろんな色のペンキにまみれているから
僕は綺麗な夕陽を見たことがないんだ


自由詩 算数の時間 Copyright wakaba 2017-02-02 22:49:53
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