撃ち落とせ
花形新次

私の翼は汚れてしまって
もう昔には戻れない
艶々の新しい羽を
望んでも虚しいだけ

どうせ翔ぶことが
出来ないならば
翔んでいるあいつを
どうにかして
撃ち落としたい
それが私の存在証明になるから

私はみんなに
耳打ちする
「あいつは裏切り者だ
その銃で撃ち落とせ
撃ち落とせないおまえは
次の標的だ」

みんなは
狂ったように
あいつに向かって乱射を始める

私はその光景を見ている

血塗られ
墜ちていく羽を見ながら
唇を舐める









自由詩 撃ち落とせ Copyright 花形新次 2017-01-23 12:24:47
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