くれないの実
もっぷ

紅の実 紅の実
紅の実は 凍える頃愛される
紅の実 紅の実
紅の実は 人恋しい頃愛される
間違えて色づいた 春の紅の実は
誰からも気にされなくて そっと佇む

紅の実 紅の実
紅の実は 北風の訪れとともに愛される
紅の実 紅の実
紅の実は 陽の遠い頃愛される
間違えて色づいた 夏の紅の実は
太陽の燃え盛る炎に 身投げしてみたくなる

それでもね 紅よ
愛される季節のある 幸せを知っているかい
それでもね 紅よ
何ゆえに求められるのか 判っているかい
君の紅 美しく つやつやと
君の紅 つい儚げで 手を差し伸べられる

それでもね 紅よ
愛されるということを 当たり前に
それでもね 紅よ
いつかは枯れて 捨てられるのに
君の紅 この霜にも 愛される
君の紅 あの人にも 愛されて

紅の実 紅の実
紅の実は 凍える頃愛される
紅の実 紅の実
紅の実は 人恋しい頃にだけ見つけてもらえる
間違えて色づいた 春の紅の実は
愛を知らない でもそれでもそっと佇む



自由詩 くれないの実 Copyright もっぷ 2017-01-22 09:43:03
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