春待人
ゼロハチ

冬ながら
空より花の散りくるは
雲の彼方は
春にやあるらむ



私たちは

時に自分に負けてしまいます

誰に赦されても
誰に愛されても

足りない命を食いちぎって

乾いた喉を潤そうとして

知らないあいだに夜になってしまいます


泣いてしまいたい


このままいっそ朝を待たずに

いちばん暗い夜明けの星と一緒に
海のむこうへ消えていく雲のように

鳥たちが見ている水平線へと、

本当に静かに



だけど命はとても強く

私たちに生きることを促します


私が何度止めようとしたとしても
最後の一振りまで私であることを命じます

まるで、いつか世界は朝を迎え

春が来ることを知らせるように


跡形もなく失われる形

誰にも知られず土へと還る花


巡ることなど、誰も知らない



私は、ただ生きるしかない瞬間の中で

希望を思い出してしまいます


優しかったものを
大切にしまいこみながら



これで良かったのかを

平等な終わりが教えてくれるまで

ただ、歩いていく


もうすぐ春が来ることを祈って

あたたかなお日様のひかりに

呼吸のように
涙するのです





自由詩 春待人 Copyright ゼロハチ 2017-01-18 19:14:56
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