カフス
末下りょう


もう引き寄せるもののいない
カフリンクス
(ひそめる眉、tres viae、ピラミッドの密度 )

ドライフードを残して初雪に消えた猫
白濁したシャツの一束のブーケが
投げ込まれたアパルトマン
通路にばさりと

四階の住人は拐かされ遠ざかる
引き込み線と
色の耳が邪魔でした
結婚式には
流星群の柩に入り
安い
ケーキの ヘシカズム

ぐずな
星屑のうなじを掬い
庭で感電する
冬蜂の
尾針
から

したッ たらず
したたる し
たた


造影剤
しりるか
しみる
角膜 破る
ふ化
眼も
メモ
メモリ ー

それ以外は
記念撮影のあとに
笑おう


あらわな袖口の水際でよろめいて



自由詩 カフス Copyright 末下りょう 2017-01-18 02:34:36
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