覚醒し、獲得せよ
末松 努

俺か
って
嘆いて
頭を垂れたか
それとも
土下座したいのか
かつての自分勝手よ

誰に向かう
その冷えた眼の先
湧水の空
荒涼たる雲を捉えようとする矢は

己に滾る赤い涙は
永遠に燃えさかる炎があると証言し続ける
暗闇の法廷
果てしない弁論
整列に疲れた傍聴席
誰も知りたがらない動機が
無数の穴の空いた壁に木霊する

求められるは
おまえの涙よりも迸る血流に過ぎず
判決は無情の空気に熔けた
誰より知っていたであろうおまえの
惚けた口蓋からは呼吸すら
聞こえなかった

静謐な鼻腔に
再び声帯が宿る

呻け もっと 呻け
唸れ もっと 唸れ

拡張は永遠とまやかす世界で
狭窄した欲望の中へ
飛び込め
おまえという俺の疾走が起こす
恐れなき畏れに矜恃を
見失った喝采に
召喚される憧憬を確と記憶せよ


自由詩 覚醒し、獲得せよ Copyright 末松 努 2017-01-16 19:33:34
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