薔薇の傍に (サン・テグジュペリ氏に敬意を表して)
Lucy
猫でも
星の王子様でもないから
突然 行方不明になったり
ふらりと舞い戻ったり
渡り鳥に話をつけて
よその天体までひとっ飛び
旅してみたりもできないし
自ら死期を悟る事も
できそうにないので
とりあえず
惰性のように此処に居る
住民票のあるところ
私宛の郵便物が届くところ
十数年も前に別れた友が
ひょっこり訪ねてくれた時
すぐに見つけてくれられる場所
終わりはふいに訪れる
おそらく 何の前触れもなく
その時になって
せめて後悔しないよう
風が冷たいと咳をしているその人を
手をかけ時間を費やした
私だけの大切な薔薇だと
思うことにして