白い月
星丘涙

滑らかな肌に温かい指先
抱擁して温もりを感じあう

白い月が震えている

水が形を変えてゆくように
貴女の身も心もすり抜け
透明な感覚と喜びをえぐる

白い月が漂い揺れる

白い背中にひとり
猫のようにすり寄り伸びをする
愛ではない
それはエロスと呼ばれるものか

星雲に散らばっている言の葉は
汚れた母性の赤いリボン

白い月がこわばっている

理想的にねじれる肢体と目眩
のけ反る理性の反発が加速し
本能の心因は論理的に証明される
早まって断罪するなかれ

鼓動が宙と共鳴して
命が運河におとされ

それを白い月が見つめている


自由詩 白い月 Copyright 星丘涙 2017-01-10 22:33:28
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