お餅、お持ち?おもち
水菜

お餅がぷくっと膨らむ。
うぷくっと膨らむ。

お持ち!お持ち!お持ち!
小さいおじさんが駆け寄ってきた。なにか、必死に仰っている。

「どうしたの?小さいおじさん。おもちを食べたいの?熱いから気を付けてね」

膨れたお餅ぷちっと箸で二等分♪



「おもちっ♪
おもちっ♪
美味しいおもち♪
小さいおじさんも好きな美味しいおもち♪」

小さいおじさんが、不満げに頬をお餅みたいにぷっくりと膨らませた。

ちょっと可愛い。

「お餅じゃない!お持ち!昨夜の君の発言!今日の君の詩の投稿は、ひどいものだ!君は、自分の考えを改めねばならないよ!お餅は食べるがね」

小さいおじさんは、ちょっと嬉しそうだ。お餅好きなのを私は知っている。しかも、ちょっとお砂糖多めが大好きなのも。小さいおじさんが好きなきなことあんこも横にそっと置いた。小さいおじさんの目がきらきらと輝いている。可愛い。

「むぐむぐ」

口いっぱいに熱いお餅を頬張っている。小さいおじさんは、可愛いし、いい人だ。私は、それを知っているから、小さいおじさんの大事なお言葉に耳を傾ける。小さいおじさんの声はとっても小さいからだ。

お餅を口いっぱいで食べた小さいおじさんは、体温が上がったのか小さいおじさんの頬が仄かにもえている。

「ぬ、お餅はうまい。いや、大事なことなんだよ。君は、昨夜や、今日の気持ちを、きちんと受け止めるだけで良い。面白がるなどもってのほかだ。君の行動は誤っているよ」

小さいおじさんの目が真剣味を帯びているのを見て、私は、ふっと嬉しくなった。そうだね。と、思う。

「小さいおじさん、有難う。それから、心配させて、ごめん。本当にちょっと、面白くなっちゃっただけなんだよ。でも、私の行動は良くないのだと思う。そこはちゃんと反省するよ。有難う」

小さいおじさんは、満足げににっこりとすると、保存食用に、残ったお餅を小さいおじさん専用のキッチンに持っていくために小さいおじさんの車に積み込み始めた。私が小さいおじさんの為に用意した、ラジコンカーだ。小さいおじさんは自分で改造して、自分でラジコンを操作しながらオートで運転して、小さいおじさんのねぐらへ帰っていく。

小さいおじさんの背中が、物憂げに見えなくなっていくのを、私は、やさしい気持ちでずっと見ていた。

お餅のこおばしい匂いが部屋をぽかぽかと温めている。

「小さいおじさんに言われちゃったら、面白がるのはやめないとね」

私は、ふふっと目元を和らげた。


自由詩 お餅、お持ち?おもち Copyright 水菜 2017-01-09 13:48:26
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