楽園の春が萎れていく
這 いずる

早すぎた朝の向こうに夜があるように
遅すぎる夜の向こうに朝があるように
光に狂った雪街の景色を
僕たちはビルの屋上から見下ろしている
それは何の不幸でもなかったのに
苦い思い出としていつの間にかしまわれていて

頭を引っ掻きまわす
暴力的な言葉があふれている街並み
逃げ出そう、逃避先はどこだろう、と笑いあって
手を取り合って走り出したのに

君と訪れた楽園の春が
季節外れの雪で萎れていく


改題「萎れた花々と重い雲の渦」2017.06.15


自由詩 楽園の春が萎れていく Copyright 這 いずる 2017-01-06 01:46:56
notebook Home