心象
Lucy

冬至を過ぎたとはいえ
まだ夕暮れはとても早い
午後と思ってでかけたが
歩き出してほどなく
雲は彩られ
見る間に
黒い塊として
光の名残に縁取られていく

これが
最後の日没だろうと
新しい年の幕開けだろうと
変わらない

私がみるのはたぶん
日の出ではなく
いつも日没なのだろう

並樹の枝が細く絡まり
レースのように
暗く発光する空を透かしているのを
ひどく美しいと思いながら
犬や人が通って行った
足跡まみれの雪道を進む

冒険でもなく
旅でもない

けれどまだ見ぬ心象を目指し

僅かな知識と情報を透かしても
時代は明るい方へ向かっているとは思えない
けれど人の世界が
本当に明るい方へ向かったことなどあっただろうか

希望と勇気と絶望が
繰り返し
かき混ぜられて
地球は回る

私の向かうのが日没でも
あなた方が追うのが日の出でも

藍色の空の彼方に
一粒の光を指差す針葉樹の梢
それはたぶん祈りでもなく

信じるにたる何ものかに
出会えたとき
私にそれが見抜けますように







自由詩 心象 Copyright Lucy 2017-01-02 23:36:51
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