餅いくつ
ただのみきや

 もちいくつ?

価値可知カッチカチの表面が割れて
どろり中身があふれ盛り上がり膨らんで――

あといくつ餅を食べるのか
あといくつ正月を迎えるのか
一生分の餅をざっと数えて

干からびたからだの表面が割れて
どろり魂があふれオバQみたいに膨らんで――
そんなわかりやすい霊魂肉ならいいけど

 あといくつ?

道産子の雑煮みたいにね
いろんな連中と一緒くた煮込まれて来たけれど
本当のおれは海苔で巻かれた砂糖醤油さ
今時の個別包装個人主義
人の手でこねられるなんて嫌なこった
温もりとか照れ臭いしね
クールに逝きたいね
シリカゲルが相棒さ

 もちいくつ?

臼と杵
嘘と金
モッチモチの無ッ知無恥
ついては憑いて
路未知ミッチミチに逝きたいね

 もちいくつ?
 あと――




               《餅いくつ:2017年1月1日》



         





自由詩 餅いくつ Copyright ただのみきや 2017-01-01 18:52:03
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