思い出せない言葉を思い出せないままにしておく
竜門勇気

いつものままでいたら
通り過ぎる場所を
あつめていた

かけがえのない世界の片隅
お前を探してるやつが居たよ
かけがえのない世界の片隅が
顎を上げてわらった

いつものままでいたら
忘れてることを
覚えていた

静かな夜が来る
世界が終われば
まずするのはなに?
窓を開けて、窓を開けて
次にするのは何?

テーブルに
腐ったウィスキーが
あるってことまでは
覚えてるし

それに
腹を立てたとこまでは
結構鮮明だよ

あのこがどっかで
よろしくやってたって
そんな話も聞いた
なんだかおとぎ話みたい
彼女はもう
よその世界にいるみたい

テーブルに
乾いたチーズが有る
あるってことまでは
覚えてるし

ただこういうの
なんていうのか
思い出せない

誰かがそいつを
口にするのを待とう
そんで世界の秘密を
バラすみたいに言うんだ

それはテーブルの上に乾いたチーズと
腐ったウィスキーがあるってことだよ
それはそんなふうにして
思い出したくなかったなって

この世界を
終わらせるのは
僕だ
僕が終わるまで
待たせてるだけだぜ
始まりだけ与えて
そんなのは許さない
僕が終わるまで
僕が終わるのを待ってろ


自由詩 思い出せない言葉を思い出せないままにしておく Copyright 竜門勇気 2016-12-31 02:45:49
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