乳毛
たいら

乳輪からひょろりと伸びる細長い毛
ここでは乳毛と呼ぶことにする
この乳毛、左右の乳輪から一本ずつ
うなだれるでも天を衝くでも無く
うにょうにょと自由気ままに生えている
何の為の毛なのだろう
暖かい訳でも無く、乳首を守る訳でも無く
無意味にただ何となくついうっかり
御丁寧に左右の乳輪から生えてきたのだろうか
偶然と呼ぶには出来過ぎで
もしかすると運命めいた物ではなかろうか
いつかこの二本の乳毛が私の運命を左右したりしなかったり
そう考えるとこの一見邪魔な乳毛達も愛しく思えてくる
たとえボディタオルに引っかかろうが
娘に引っ張られようが
道端に咲く名も無き花のように
力強く在れ。


自由詩 乳毛 Copyright たいら 2016-12-16 22:42:16
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