雪の無人駅
オイタル
雪の無人駅
雪を掃く係りのものが雪を掃く
何でもないコンクリートの踏み板の上を掃くものがある
待合室の歌謡ショーのポスターからさびしさのしたたり
掃き残した埃と雪の混じった少し硬いものをさらに掃き集め
どこかへ行くものどこからか来るもの
眠る自転車
もうどこへも行くことなく雪を掃くもの
線路のかげから現れるもの
屋根の上の白い幻
しかし
無音で
その壁に刻まれる
遠い銃撃の影絵
激情の指紋
得体のしれない小さな紙屑を掃きあつめながら
惨劇のように降りてくる雪の粒のあわいに手を止めて
聞こえてきたはずの音に耳をそばだてた