青いおじさん
tonpekep
おじさんはいつも何かにつまづいている
ずいぶん空が遠くなった
友達が少なくなったけど
仕事は増えた
良く知らないひとのことを気遣っている毎日
親しいひとのことはどんどん知らなくなっていく
おじさんはひとり
毎度加水を間違えてご飯を炊いていたりする
べちゃべちゃなご飯
硬いご飯
おじさんは毎日失敗をくりかえす
昨日できたことが今日できるという保証はない
だけどおじさんは挫けない
挫けるそばから新たな事件が展開する
家中の時計は
もうすっかり止まっている
信じられないくらい埃が溜まっていて
ため息をつくことさえできないでいる
おじさんから時間は去っていく
否 時間がおじさんをすっかり忘れてしまっている
おじさんとは
つまりサン=テグジュペリの星の王子さま…
んなわけはない
おじさんの孤独はじっとたえること
朝
青いジャンパーを着て
通勤する
退勤する
おじさんは焼き肉があまり食べられなくなった
骨付きカルピよりツラミが好きになる