青いおじさん
tonpekep

おじさんはいつも何かにつまづいている
ずいぶん空が遠くなった

友達が少なくなったけど
仕事は増えた

良く知らないひとのことを気遣っている毎日
親しいひとのことはどんどん知らなくなっていく

おじさんはひとり
毎度加水を間違えてご飯を炊いていたりする

べちゃべちゃなご飯
硬いご飯

おじさんは毎日失敗をくりかえす
昨日できたことが今日できるという保証はない

だけどおじさんは挫けない
挫けるそばから新たな事件が展開する

家中の時計は
もうすっかり止まっている

信じられないくらい埃が溜まっていて
ため息をつくことさえできないでいる

おじさんから時間は去っていく
否 時間がおじさんをすっかり忘れてしまっている

おじさんとは
つまりサン=テグジュペリの星の王子さま…

んなわけはない
おじさんの孤独はじっとたえること


青いジャンパーを着て

通勤する
退勤する

おじさんは焼き肉があまり食べられなくなった
骨付きカルピよりツラミが好きになる


自由詩 青いおじさん Copyright tonpekep 2005-03-04 08:27:21
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