親父
ホカチャン

僕は親父が大の苦手だった
悪い人ではなかったが
説明しない人だった
子どもの頃よく怒鳴られたが
怒鳴られたわけがわからなかったので
いつも不安を抱えていた
親父が仕事で帰ってくると
同じ屋根の下におれなくて
近くの祖母の家にいつも逃避していた
いつもやさしく元気だったおふくろが
突然亡くなったときは
さすがの親父もこたえた
いつも口荒く命令ばかりしていた親父であったが
おふくろが亡くなってからは
泣いてばかりだった
親父も泣くんだ、と思った
それでも
子ども、兄弟、友だち、地域や施設の皆さんに支えられて
十年一人で生きた
僕が電話すると
「早く帰ってこいよ!」が口癖だった
来年は親父の七回忌だ


自由詩 親父 Copyright ホカチャン 2016-11-30 14:17:08
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