悲しい鍋
草野春心



  悲しい鍋は 空間のなかで軽く
  あまりに軽く 見つめているのも辛い
  ザラメじみた虚しさがいっぱい光に揺れて

  私は考え・手離し・ひろい集め・擲ち、
  気狂いになった……予定調和的に
  糸屑のような今を指で払って

  キッチンで飲むともなく飲む缶酒の底に
  そう、確かに あなたがたの言うとおりに
  他者は居た。でも、なんだかブリキみたいだな




自由詩 悲しい鍋 Copyright 草野春心 2016-11-26 06:42:58
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短詩集