コギトを寝かせて
青木怜二
いつか死ぬんだ、ジュクジュクした桃色の
痺れまくりのコギトの裸体に
はしる痛覚のノイズは白く、潮騒
宇宙に放り出されている、寝ぼけながら
いつの間にか物語らしきものを持っていました
生きているのに、偽物のようだと感じるのに
ほんとうのことが思い出せない。ほんとうのことが
あるのかないのかわからないけどもう般若心経は
引用しなくていいよ、午前6時40分のアラーム
溜まった勉強を消化することが急務だった
明かされないままの謎がシャワーを浴び
パン二枚にジャムを塗り咀嚼し
ヒートテックのシャツと長袖とセーターに
見えなくなってゆく
朝の玄関を開けるたび、瘡蓋が
コギトの表を覆ってゆく、潮騒は
白けたノイズとして耳元に鳴り
そして、打ち消される