小さな光の繭
ペユ

リルケのような純粋詩人ではないから
世の中にはない別の空間を構築することはできない
魂も身体も 十分に穢れている
世の中の荒波に揉まれて 人から非難もされて
侮辱もされ 尊厳も蹂躙され 悪意を植え付けられて
どうして私が純粋詩人などになれるだろう

深夜に紡ぐこの光の繭
心の中のまだ透明な部分を細い糸にして
卵形の型の周りに、何度も何度も糸をまいた
それは微かに発光していて
どんな暗闇の中でも 私たちが絶望を認識するしかないほどの
狂気と孤独の中でも 光を保っている
それは仄白い月光に似ている 誰かのために
この小さな光の繭を 投げ出して 
死んでいくことができたら それは幸せなのだろう

いつかこの糸が紡げなくなったとき
それは私の孤独と絶望がおわったとき
穢れきったとき 都会の雑踏に埋もれ
名のない一人の人間になったとき
潔く魂の死を認め 狂気も病気も口にせずに
ただ 生きることとしよう
リルケとザロメのような関係はいらない
近くの人々に 親切に
遠くの人々の 幸福を願って


自由詩 小さな光の繭 Copyright ペユ 2016-11-12 18:57:46
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