口癖についての不思議
竜野欠伸

やはり言葉には音程があるし
届ける意味と宛先があるのです。
けれども、感じるままに
あらゆる想いを誰かに伝えることが
メッセージなのだろうと
思い違いをすることがあるのです。
いつしか、鳴り止む口笛のあいだには
名前を呼ぶ声でさえも、
沈黙をすることがあるとして、
きっと、それなりの口癖なのでしょう。

例えば、人生にも暗澹とした
想いがあるとして
そんなことをうつむきながら
考えている人間に、
「死んだほうがいいんじゃない」とか
眼鏡を掛けながら一緒に
酔っ払っている人間に、
「あなたも土偶(どぐう)みたいだね」とか
誰しも平気で思ったことを
伝える正直な言葉があるのは、
きっと、もっともな理由があるのです。

それでも、きちんと怒りを向けられると、
その時には「ごめん」
などと言ったりします。
では果たして秘密にすることなどは、
何処にあるのでしょうか?
時折に、透き通る真実を映し出す
口癖の言葉で出来た秘密の鏡が
あなたの目の前にも
再び現れたりするのです。




自由詩 口癖についての不思議 Copyright 竜野欠伸 2016-11-06 21:35:26
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