再生 
小林螢太

今はまだ、ぽっかりと空いたボトルが海を漂い
手垢のついたじかんが終わりを迎える

真新しい窓を覆うひかりは
星の空をはだかで漂う不確かさで
黒く塗りつぶした本にときを刻みはじめ
風吹が去ったよるに、きみは
ぼくの幻をみている

いくつもの陽炎をかんじて
風浪に曝されながらもやを通り抜けた
口を閉ざす海の向こうに夜中の虹が見える

冬に巣立つしんきろうの海猫
船底のかくせい
ベッドに置いてなくした似顔絵
砂時計を乾かし、ぼうしに十一月の風が抜けて
冬のインクを滲ませていく

ブルーベリーをかみ砕く
空間に浮遊する粒子からいのちがほとばしる

干からびた稲穂にかぜを通し歩いていく、あの丘の
ほそい糸を辿って
あおい鳥が前を羽ばたいていく
ミュトスの前の二つのひとみを探さないで

オレンジ色のひかりとリズム
小梢のさえずり

ぼくの無音をセロファンのランプとして表す
たとえ騒めくやみの中でも
きみを見つけよう


自由詩  再生  Copyright 小林螢太 2016-11-05 13:56:59
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