霜月の空
小林螢太

すっかり寒くなってきた、土曜の早朝
僕はいつもの様に
四階にあるベランダで煙草を燻らす

景色はいつも通りのようで
いつもとは違うように見えた
特に、空が違う
だから、空が好きだ
一度として同じ表情ではないから


過去、
度重なる世間との摩擦で摩耗した僕は
内的世界に向き合うことが多い
傷を癒やすように
 
空は身近で好きな外的世界だ
変化の少ない、変化を嫌う僕にとっての
パラレルワールドだ

ただ、人は
一人では生きていけないし
身近な大切なものを守りながら
生きていく
そして、
疎遠になった人たちのことも想う
だから、空につぶやく

 「お元気ですか」

空にはただ雲が流れている



自由詩 霜月の空 Copyright 小林螢太 2016-10-28 22:56:25
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