はなことば一
田中修子

大学のかえり下り坂
黄色いばらの花びらの
ふるふる落ちる

わたしの恋人が
わたしの親友を
好きになってしまい
それはわたしの愛が足らぬから

夕暮れのななめのひかりは金と黄色と橙で
黄色いばらの花びらを
よりいっそうあかるく染め上げる

あんまりにも美しすぎて
わたしの魂が風景に空に
すうっと吸い込まれてくころにさしかかり

すねるふたりへのおわびのきもち
黄色いばらの花びらを
ふたりのこれからのかんむりに
これがわたしのくちづけ
心底の愛

ふたり、しあわせそうにほおえんでるのを
わたし、うっとりながめてる


自由詩 はなことば一 Copyright 田中修子 2016-10-27 01:13:17
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