抑圧
鷲田

深夜、黒い海の底には自由が泳いでいた
あらゆる抑圧は解放を求めている
まるで遠吠えをする狼の悲しみのように

少年の苦しみは社会の礎となる
登りゆく太陽の無邪気さ
暮れ行く夕方の北方に飛ぶ鳥の群れ
権力は胡座をかいて
人は動き続ける

夜に街角でタバコを吸う男
煙は風に乗り
無機質な空気は香りを身に着ける

例えばそれは裸の女が
好みの服を身に着け
二つの魅力を楽しむように

一つ年をとったボヤケタ月
宇宙の無限と
時を刻む葡萄の木
季節は自然を支配している

ああ、組織は一つの灼熱の夏であり
決して崩壊しないように回り続ける
冬の寒さに耐えることを
団結であると民族の誇りは名付けた

厳しさは何時でも空の重さだった
無意識下へと押し込めた犯人は
木から落下する一つのりんご
火のように赤い真っ赤なりんご

私は動く 人は動く 今日も
夢の赴くままに 夢のような正直さの中に
社会は嘘を付かない
例えそれが一人の男の単なる気紛れだとしても


自由詩 抑圧 Copyright 鷲田 2016-10-22 23:11:43
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