Hey Siri
atsuchan69
Hey, 一体どうしたっていうんだ?
スマホ片手にそんなにも酷く落ち込むなんて
オマエの爆発した頭の上には、
真昼の太陽がまだギラギラ輝いてるというのに
いつも素晴らしいことばかりじゃないさ
とても嫌なことやマジ辛いこと
ウンコ漏らしちゃったりとかそういう恥ずかしいこと、
下半身裸で一目散に走って逃げなきゃの時もある
オマエよりも優秀な奴なら沢山いるけど
でもやっぱりオマエはオマエ、マジ考えるとオマエは俺だよな
たとえ超テキトーなオマエの失敗が天まで届いたって、
それでもたぶん‥‥俺の人生はまだ終わりじゃない
思いっきり傷ついてんのに全国民、全人類に笑われて
泣いて叫んでガラスのコップを壁に投げつけて
それでもまだ終わりじゃないのって、なんか笑えてくる
熱い涙のシャワーあとに、腹の底から情けなさがこみあげてくる
カッコつけて歩いた銀座、栄、心斎橋
網タイツ穿いた娘、ショートパンツはみ出した尻揺らして
高すぎるヒール 短い脚を誤魔化す彼女連れて
化粧ぶっ濃い、睫毛付け睫毛、口紅赤くレッド、まっか、まっか
やって来る、ホストみたいな男 凄くイケメン
スーツはイタリアン、オマエよくわかんねえ服 ドカジャン
女イチコロ、指立てるウインクする、ただそれだけ
彼女は、サヨナラ。オマエとサヨナラ。一瞬で、もうサヨナラ
Hey Siri
――人生って何?
真っ暗なスマホの画面に映ったオマエの泣き顔を見ていると
夢かもしれないけど、愉快で楽しい日がふらりとやって来てさァ、
あっという間に過ぎてゆく日々 燥ぐオマエの馬鹿笑いが聴こえる
でもまだ終わりじゃない、ああ。あ、ここは病院。ガーン!
Hey Siri
――人生って何?
居心地の悪い世界を閉ざすようにふたつの眼を瞑ると、
性別不明の白衣の天使が現われて微笑んでくれる
そんなNHかもしれない天使が行きましょうって誘ってくれたら
たぶん、そのときが人生の終わりなのかもしれない‥‥
Hey Siri
――人生って何?
Siri:――ニーチェならきっと答えてくれますよ
Hey Siri
バイバイ、Siri