駄菓子の力
梓ゆい
一粒のダイヤ飴
病気で遠出が出来なくなった父を笑顔にした。
TVに映るのはかつて暮らした都会の街並み
今はそこに長女が一人たくましく住んでいる。
「元気にしているか?きちんと生活出来ているか?」
電話をかければいつも
同じ事をしゃべるオウムのように
父は必ずそう言った。
「大丈夫だ、心配する事は何も無い。」
最後に一言を添えて
父の好きなダイヤ飴を頬張る娘は
繁華街の空を見上げて
固く固く口を結んでいた。
自由詩
駄菓子の力
Copyright
梓ゆい
2016-10-08 02:56:20