プレゼント
梓ゆい

父が手渡した1万円札
大切に使いなさいと
小さなぽち袋に入れられて。

都内へと向かう電車の中で
いろいろと考えた使い道。
欲しかった牛革の靴
買い換えようと眺めた洗濯機
入ってみたい表参道のカフェ
あれもこれもと欲張りすぎて
何をしたら良いかが解からない。

最寄駅に降り立つと
昨日開いたばかりの新しい花屋
綺麗な花束を見繕い
貰った伝票に母の名前を書いた。






自由詩 プレゼント Copyright 梓ゆい 2016-10-01 04:29:07
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