ばった
春日線香

一度間違えてしまったのだから
何度間違えても同じことだろう
そう思って暮らしていると
次第にばったのような顔になってくる
顔がばったのようでは外にも出られないので
その部分を消しゴムでこすり
一応は人間に戻してやりすごしている
それでも気がゆるむとばったに戻るので
ついにやけくそになって
ばったの姿で跳んでいくと
おまえみたいなばったは知らないと
丸めた新聞紙で叩かれて
ぐしゃぐしゃに潰れてしまう
そんなことがあるはずはないのだが
道端でそうなっている


自由詩 ばった Copyright 春日線香 2016-09-21 20:49:55
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