夜のスーパーマリオ
かんな




マリ男は夜に孤独だった
まだ趣味はある
写真が好きで
朝焼けと夕焼けにシャッターを
押すことを繰り返していた
一人旅をよくした
数少ない友人たちは家庭を持ち
それぞれに
関わらない生活をしていた
ヨッシーだけがときどき連絡をくれた
 元気か?
 元気だよ、相変わらず
 彼女でも作ったらどう?
 余計なお世話だよ
ほんとうに余計なお世話だった
スーパーマリオの時代はよかった
皆が若く独身で
夜は飲みに大騒ぎだった
ピーチ姫ともまだ上手くやれていた
いつからだろう
お互いに変わっていった
歳を取ることがこわいとさえ思う
マリ男は思う
夜が明けたら少し長い旅に出よう
羽を使わない
地に足をつけた旅に出よう
明日の朝焼けの写真はとびきり
うつくしいものにしよう





自由詩 夜のスーパーマリオ Copyright かんな 2016-08-24 11:52:07
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