くえんさん
藤鈴呼


耳の裏を掻くと
ぽぉろぽろと
何かが剥がれ落ちて来る

おいでと手を拱いた記憶は無いが
余りに可愛らしい角度で尻尾を振るので
つい見とれてしまった

そのまま明日の朝まで
ゆっくり眠られたならば
問題なぞ起きなかったものの

魔法の重曹を ぶっかけて
鍋底の焦げを コソギ取る程
簡単な 話では 無かった

文節を 一つ一つ 読み返しても
何が 気に障ったのか 解んない

ただ 烈火の如く 震えて居る
感情 そのものは
目に 見えるから

檸檬水と 同じ味の粉を
もういっちょ って ぶっかけたら
泡が はじけた

そのまま 炭酸水の 出来上がり
だけど ポットは 未だ 
カルキくさい

何度 沸騰させても
ヤカンが 黒色に 成り果てても
元には 戻らない

そんな姿を
素顔のままで
見つめる ボクが いた

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自由詩 くえんさん Copyright 藤鈴呼 2016-08-12 18:44:30
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