ピース
末下りょう



公園のベンチで鳩にパン屑をまき
ピースする
一応鳩も平和そうにしてる
平和が鳩に見えることはあっても鳩が平和に見えることはない
良いお天気
アトムみたいな寝癖がほしい
鳩の胸がピースフルに膨らむ
そよ風に首のうしろを撫でられきみをおもう
ラジオ体操をするおじいさんに触れて落ちるオリーブの葉
どこかで成立する商談
誰かがいま殺される
いつからか異様にかたいピースを内側に秘めてしまうこと
ぼくはぼくのピースを閉じ込めた一つのパズルをなくしたし、ぼくのピースを閉じ込めた一人のきみをなくした
欠けてるピースをピースで補うためにピースを求めた
知らない顔に知らない顔して知らない顔になった
ぼくはただぼくがぼくに見たピースを世界にピース化したいだけだった
そんなピースすらぼくには大事だったのだけども
人は最後に敗北するようにできてはいないから
せめて相関関係と因果関係をあまりごっちゃにしないよう
今朝のピースはけたたましくピースであってほしい
バーティカル鳩胸ピースであってほしい
なんならいくらでも首をすげかえてやるピースであってほしい
武器商人の名刺や人を殺す人のニーズをパン屑を啄む鳩たちが踏み消すところが目に焼きつく
あるひなたのピース




自由詩 ピース Copyright 末下りょう 2016-08-11 03:28:17
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