岩肌に咲いたハート
藤鈴呼



桃色の薔薇が咲いた
可憐な少女のようだと目を細めていると
ワタクシはサザンカだ、などと言う

クールな目元は 
棘の或る馨しさ そのものなのに
否 と 応えるから 不思議だ

大雪を過ぎ
世の中は 漸く冷え込んで来た

「ほんに しばれる朝だなや~」
両手を擦り合わせる姿も
もう 珍しくはない

岩の上に咲いた ハート型の花びら
ふわりと舞い上がる風で
まるで なかったかのように 
消え失せるから

ほんの 一瞬の恋だね なんて
雪が葉に咲く 一瞬と おんなじ

春かと勘違いした枝が
幾重にも伸びて 太陽を目指す

お前の季節は まだ先だと
言い聞かせる 岩肌は
少し 冷たい

目に見えて咲く 桃色の文字が
恋という形に 描かれようとも

そっとなぞった 雪の結晶で
一瞬にして 固まってしまうの などと
怖がった

葉の下で 卵たちは 覚醒する
ここまで 雪が来たって 平気

茶色くなった 蟷螂たちが
蕾を抱えて まだ 這い上がる
まだ 這い上がるよ

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自由詩 岩肌に咲いたハート Copyright 藤鈴呼 2016-08-04 22:56:06
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