生きるバトン
ひだかたけし

油蝉、歩道真ん中で仰向けに
六本の足を交差させ絡ませて
己の運命、知りつつ逝く のか
 〇
油蝉、歩道真ん中で仰向けに
足を弱々しく蠢めかせて
己の運命、受け容れ逝く のか
    〇
「油蝉、歩道真ん中で仰向けに」
って、
潰されちまうぞ!と片足でモガク肢体端に寄せ
途端その油蝉、俯せ向き直り
驚く俺と対峙する
         〇
[分かったよ
クタバル間際まで
おまえは自らの生命力を全開に
そのバトン、この俺が確かに受け取ろう]

僕は胸中深くからそう応える

 〇 


自由詩 生きるバトン Copyright ひだかたけし 2016-08-04 22:09:40
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