失神
坂本瞳子

髪の生え際から
肩へかけて滴る
汗の粒が止まらない

負けたくなくて
暑いという一言を
口にしないで
我慢している

ため息が出る
腕を掲げて
陽射しを避ける

熱の篭った空気が
追い打ちをかける

また一粒汗が滴る
暑いのはもう分かっている

逃げ場を求めて
彷徨う瞳は
行く先を知らず
暗がりへと堕ちてゆく


自由詩 失神 Copyright 坂本瞳子 2016-08-01 23:13:25
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