憂鬱なマトリョーシカ
ただのみきや

わたしの中の赤ん坊がむずかり出した

わたしの中の幼児が仰向けになって手足をバタバタ

わたしの中の小学生が精一杯下品に悪口を言う

わたしの中の少年Aがナイフをチラつかせ睨む

わたしの中の青年があれこれ理屈を並べて譲らない

わたしの中の引きこもりが部屋に鍵をかけて布団をかぶる

わたしは結局引き受ける上司から言われたことを

わたしの中の道化がわたしを誇張し笑っているそんな

わたしを言葉にする詩人気取りのわたしも憂鬱




             《憂鬱なマトリョーシカ:2016年7月14日》









自由詩 憂鬱なマトリョーシカ Copyright ただのみきや 2016-07-30 21:00:48
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