手の上の血飛沫
坂本瞳子

右手の甲に
血飛沫が一滴
すでに乾いていた

この小粒の一滴
どこで付いたのか
いつ付いたのか

両腕を確認し
鏡に見入り
全身を確認してみる

どこにも傷口は見当たらない
痛みもない
負傷してはいないようだ

さっき行き違った人のものか
天から降って来たものか
皆目見当がつかない

だからといってどうしたものか
舐めてしまおうか
毒は混じってないだろうか

どこかにこすりつけようか
誰かになすりつけようか
まあこのままにしておくか


自由詩 手の上の血飛沫 Copyright 坂本瞳子 2016-07-27 21:56:44
notebook Home 戻る