ないてる
やまうちあつし

朝目が覚めて
いつもないてる
パンをかじって
いつもないてる
なきながら
運転している
なきながら
朝礼している
音楽聴いて
いつもないてる
シャガールを見て
いつもないてる
なきながら
シャツを脱ぐ
なきながら
しをかく
さみしいときは
いつもないてる
うれしいときも
いつもないてる
ものを想えば
いつもないてる
月を見上げて
いつもないてる
ティシューがすぐきれる
コンビニに買いに行く
いつもないてるぼくをみて
店員は心配そうに笑う
あの人だって
部屋に戻ればないてるだろう
いきものは
みんなないてる
もりのなかでも
うみのはてでも
ないているのは
Nightingale
羽毛を散らして眠ったぼくは
虹で心が染まったぼくは
いつもないてる
誰も見てないと思って
いつもないてる
神様が見ていると思って
いつもないてる
自分のために
誰かのために
わらいながら
わすれながら
西日に照らされた
部屋の中
だいだい色に染まったあなた
夕焼けもろとも抱きしめた
胸焼けがする
ないてる


自由詩 ないてる Copyright やまうちあつし 2016-07-24 13:25:42
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