藤尽きて
藤山 誠
柔らかい光から逃げようと
藤棚を下から眺める
滝のよう流れる花びらが
春の喜びを押し付けてくる
地面いっぱいに散らばる藤を見て
また俺だけが生き残ったのだと思う
春を感じすぎたのだ
だから死んでしまったのだ
今日もまた
虫共が夏の暑さを吹聴する
俺は窓を閉めてクーラーをつけて
明日が何曜日だったかだけを思い出そうとする
自由詩
藤尽きて
Copyright
藤山 誠
2016-07-22 04:25:13