小学生日記「中学ツッパリvs6年2組」
瓜田タカヤ
小学校6年生時、オレのクラス6年2組にはガキ大将がいた。
彼はN君と言って、頭と身体のでかい小学生だった。
ジャッキーの木人拳の木人のような身体と言ったら、伝わるだろうか。
イヤ幾らなんでもそこまで大きくないか。まあそんなイメージ。
N君の言うことは絶対だった。N君の下にはナンバー2が2人居て
楠とサイマコと言う名前だった。
N君は画鋲と紙で吹き矢と矢を作り、K君とかを楠とかに押さえつけさせて
吹き矢でギリギリの所狙ったり、女子トイレを覗いたり、まあそういうことをやっていた。
オレと誰か(多分よっちゃん)が、
よく一つ年上の女と学校が終わってから遊んだことがあった。
彼女たちは3人くらいいて、ナゼか僕と誰かとよく遊んだ。
それは喧嘩して遊ぶというか、好きな子をいじめたりする雰囲気に良く似ていたのだが、
彼女たちはそれほど可愛くなかった。
どちらかというとブスだったかも知れない。
彼女たちは中学校で相手にされなくて、寂しかったのかもしれない。
ある日、いつものように彼女たちと喧嘩しているうちに
それが本当っぽくなり、その誤解が解けぬまま日が暮れてしまったことがあった。
そして次の日 彼女たちから連絡が来てその内容は
「あたしが生意気な小学生の話をしたら、中学校の不良達が
そいつら(俺!?)を殴りに行くみたいな事を言っていた。」
という話だった。
オレは焦ってこの話を6年2組のみんなに話すと
誰かが「喧嘩するんならやるべ!」とかで、
ナゼかみんなやる気満々になってしまっていた。
特にナンバー2的存在の、楠とサイマコが気合い入っていた。
喧嘩の日時が決まり、ついにその日学校が終わってから
ファミラン(ゲームセンター)で敵の中学生不良グループと、
俺達6年2組が待ち合わせ(^-^)することになった。
俺達6年2組は多分中学生を舐めていたのだろうか。
オレはファミランに行き、まだ敵らしき中学生が来ていないことを確認した。
そして同級生の誰か(確かよっちゃん)と一緒に何かのゲームをしていた。
その時だった「コラ!オメエラナ!(おい!おまえ達だろ!?)」という
声が聞こえた。
テーブルゲームのガラス板に反射したその姿は、小学生の俺達からは、
考えられないほどのちゃんとしたやばいツッパリ兄ちゃん達だった。
オレはちょっと顔を上げるが、すぐに又うつむいて、
ゲームに集中した。敵の中学生ツッパリ軍団は5,6人ほどいて、
皆それぞれに竹刀やらバットを持っていた。
その中の一人が「ハヤグ ソドデロヤ!(早く外に出ろ!)」と俺達を脅す。
オレは知らないふりして黙ってゲームをしていた。
オレと対面に座っていた誰か(多分よっちゃん)は立たされて、
何か脅されていたようだ。今にもどこかに連れて行かれそうな雰囲気だ。
そして空いた対面の席には中学生ツッパリの一人が座り、
オレの顔10センチくらいまで顔を近づけてきて、黙ってオレを見ている。
オレのやっていたゲームが終わりモニターは真っ黒になった。
荒ぶるツッパリ達の姿態が黒い画面に写り込む、それと同時に赤い文字が
浮かび上がってきた「GAMEOVER」
それはまさにゲームオーバー!現実でのガメオベル!
オレと誰か(多分よっちゃん)がファミランの外に
連れ出された。オレは小学生なので恐怖感よりも
「なんでこの人達はそんなに怒っているんだろう」とか
変に天然な事を思っていた。
しかしその時だった!
通りの奥から、楠とサイマコが走ってきたのだ!
楠はなぜだかツッパリ達をまったく無視して、俺の前に来た。
その表情は微妙でなんだか不機嫌そうな、疲れたかのような、
どうでもよさそうな感じだった。
そしてオレも中学生らを無視するようにして、急いで
俺達のガキ大勝Nのことを聞いた。
「Nは!?」
オレは、6年2組のガキ大将
N君さえくればなんとかなるだろうと思っていた。
楠は言った。「N、まだ学校。」
おお!学校ならファミランからすぐ近くだから、今来るんだね?!
楠達は、Nを呼びに行って来たんだね!と思い少し安心した。
ら楠がもう一言喋った。
「N 今日来ねえよ」
「?なんで?」理解不能!理解不能!とジョジョの重ちーのように
頭が軽くパニくった。
楠がなぜか微妙に怒りながら、喋った。
「N 今日ハムスターの世話する係の日だから、来れねえって・・!」
中学生ツッパリ達はその後、ファミランの店長にたしなめられて
文句を言いながらも帰っていった。
それでもN君はその後、小学校を卒業するまで
ずっとガキ大将だった。
Nが中学校に入った後、誰よりも早く女の子とつき合いだした時、
学校で女の話をした。
「スパゲッティーはデートの時に食べてはいけない。」
口の回りがベトベトになってしまうからだ。
とNが話したのを覚えている。
中学生との喧嘩きっかけの女は、小太りでいつも帽子を被っていた。
後から聞いた話では、彼女は何かの病気で、髪の毛が無くカツラを被っていたのだ。
中学校になって、小学校6年の俺達とダラダラ遊ぼうとしたがる雰囲気は
髪の毛の事で中学校で虐められていたからであろうか。
彼女は何かとつながっていたがったのかもしれない
それが病気の為に、容易ではない事になっていたのかも知れない。
彼女は
どんなにスパゲッティを食べても
口の周りがべとつかない事を
奇跡的な事であるかのように
願っていたのかも知れない。